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三点セットの大トリ! 「評価書」はこう読み込め!

株式会社レフォルマ代表取締役 伊藤  [2006.10.2]

競売事件において極めて重要な「三点セット」と呼ばれる資料群のなかで、前々回と前回で「物件明細書」と「現況調査報告書」について語ってまいりました。今回は三種の神器の大トリを飾る「評価書」についてお話していきます。

まず「評価書」とは何でしょうか。
ある競売不動産に関して裁判所から評価人に対し、価格の評価をしろという命令が下ります。このとき評価人に指名されるのは、大抵の場合、不動産鑑定士です。彼ら評価人が実際に現地に赴き調査を行った上で調査時点での状況と相場等の兼ね合いを考慮した上で評価額を算出します。一連の過程を経て評価人が競売不動産の評価額を算出したレポートを評価書といいます。この評価書で算出された評価額を根拠にして、最終的に執行裁判所が売却基準価額を設定するという運びになります。

次に競売不動産の価格面に大きく関わる評価書ですが、それはどのように構成されているのでしょうか。
評価書には、大まかに分けて三つの柱があります。

まずひとつめの柱は、その競売不動産の評価額と評価を出すにあたっての条件です。
評価書の結論である部分が評価書のもっとも最初に記載されています。
大方の場合、評価人の出した評価額=売却基準価額という方程式が成り立ちます。多少の修正があったとしても、それは敷金や管理費等負担分の調整程度であり、評価額を大幅に増減させる修正は行われません。
大きく修正が施される例外として、期間入札と特別売却を経ても売却することが出来なかった競売物件を再び期間入札にかける際、前回の価格よりも売却基準価額を下げることがありますが、仮にその場合であったとしても、執行裁判所は評価人に対して、その価格が妥当であるかどうか意見を求めます。
当然のことながら、裁判所は不動産業者ではありませんから、不動産価格について明白な答えを出すことは出来ません。それゆえ競売不動産の価格に関しては、不動産鑑定士である評価人の意向に依存することになり、彼らの提出した評価書がすべての根拠になりえるのです。

ふたつめの柱は、競売不動産の概要についてです。
敷地や建物についての概要をはじめとして、周辺環境や室内の利用状況等について指摘していきます。
割と読み飛ばしがちにされやすいのですが、不動産としての価値を左右するような問題点がこの項でさらりと指摘されていたり、そのヒントが隠されていたりすることもありますので、別添の公図や建物図面等資料をよく見た上でじっくりと読み込んだ方がいいでしょう。
さっと流し読みして思わぬ落とし穴に落ちてしまい、痛い思いをすることもあります。
例えば、私の知っている不動産業者の話なのですが、競売に参加し、転売しようと思ってある区分所有のマンションを現金で落札したものの、敷地権が設定されているマンションなのに、落札した区分所有部分だけは何筆かに分かれたマンション敷地のなかで前面道路に位置する敷地の一部の持分を持っておらず――。
結果として、その不動産を売り出して、お客さんが気に入って売買契約を成立させたのに、道路に接する敷地の持分をもっていないという理由で住宅ローンを組めなかった……という事例が実際に起きています。
このケースでいっても、きちんと物件の概要部分を読み込んでいけば、この競売物件が前面道路部分と接している敷地の持分を持っているかいないかは分かっていたわけです。それを怠ったからこその悲劇といえましょう。不動産のプロであるはずの業者でもこういったミスを犯すこともあるのです。十分に注意してください。

そしてみっつめの柱は、評価額の算出過程です。
算出方法としてはふたつの方法があります。ひとつは積算価格の算出であり、もうひとつは収益価格の算出です。
積算価格とはその不動産を構成する土地価格と建物価格をたした金額のことです。
それに対して、収益価格とは直接還元法(不動産の運用によって得られることが期待される単年度の純収益を基に価格を算出する方法)とDCF法(将来生み出す純収益を含めた現在価値の総和を還元利回りで割ることで評価する方法)のふたつがあります。いずれにせよ、その不動産を収益の観点からみてどのくらいの価値かを見積もった数字のことです。
競売不動産の評価の過程では、この積算価格と収益価格との割合を考慮し、管理費等滞納金や敷金の引継ぎ、競売減価といった競売に関する諸々の問題点を考慮した上で最終的な金額を判断しています。

それでは最後に、評価額は不動産競売入札について、実際に参考になるかどうかについて。
全く参考にはならないとまでは言い切りませんが、少なくとも我々がメインエリアとさせていただいている東京やその近隣の裁判所管轄物件について、そのほとんどの物件において、裁判所が定めたこの競売物件にはこの程度の金額が妥当だろうという売却基準価額での落札は望めません。最低売却価額の少し上乗せ程度では落札できないということです。
入札件数20件以上の人気物件にいたっては売却基準価額の1.8倍から2倍、場合によってはそれ以上の格差が広がることはざらにあります。

そのあたりの相場に関しては、その欲しいと思うエリアにおいて売り出しもしくは成約事例を探し出し、鍛錬を重ね、自分なりに相場観を磨くか、それとも我々のような専門家に依頼するかしないと、なかなか相場観を掴むことが出来ません。相場観がない状態で何件入札をしても見当はずれの数字ばかりで落札が出来ず、全く意味のないという事態に陥ってしまうでしょう。

三回に渡って「物件明細書」「現地調査報告書」「評価書」についてお話して来ました。これで三点セットの見方についてはお分かりいただけたと思います。

 

 
       
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