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不動産競売のマストアイテム! 「物件明細書」はこう読め!

株式会社レフォルマ代表取締役 伊藤  [2006.3.25]

不動産競売における物件を読み解く資料として、「物件明細書」「現況調査報告書」「評価書」の三つ――いわゆる三点セットと呼ばれる資料があります。
不動産競売に参加する上で、非常に初歩の初歩の話ではありますが、今回は基本中の基本である「三点セット」の中でも、「物件明細書」についてお話をしていきましょう。

三点セットのトップに来るのが、「物件明細書」と呼ばれる資料です。その内容としては、「不動産の表示」や「法定地上権が成立するのかどうか」、「買受人が負担する他人の権利」、「占有状況等に関すること」等が書かれたものであり、主に権利関係について述べられております。他の二点と比べると枚数自体は少ないし、箇条書き程度にしか記載されてはおりませんが、これがもっとも重要な資料だと言っても過言ではないでしょう。

……と書いてきましたが、ここまでは多少、競売をかじったことのある人なら分かることですし、どの競売を取り扱った本を読んでも、そう書いてあります。恐らくこの文章を読んだ大抵の人が、このように思われるのではないでしょうか。

――裁判所が言っていることだから、すべて正しいし、すべてを網羅しているのだろう。じゃあ、これだけ読んでおけば、間違いないはずだ。

しかしながら、実務として取り扱っている者としては、問題はそんな簡単なものではないのだと断言できます。

何故なら、物件明細書が間違っているというケースは、ほとんどないとはいえ、すべての競売物件の物件明細書が正しいとは言い切れませんし、少なくとも、物件明細書に記載するべき重要な事項が漏れていることは多々あるからです。

例えば、貴方がやっとの思いで落札した物件。物件明細書にも現況調査報告書にも評価書にも、特記事項に何ら書かれていない。問題は全くないだろう、と思って入札落札し、代金納付した後になって分かる事実。マンションの敷地となっている複数の筆の内、ひとつが前所有者の持ち分があったのに、それには抵当権が設定されておらず、裁判所書記官の嘱託によって、当然のように、買受人に所有権が移転しない。どうしよう……。

弊社は、実際にこのようなケースに陥り、物件を何とか正常化したいという、お客様の切なるご依頼を承ったことがありました。私どもが前所有者と掛け合い、話し合いに尽力した甲斐があってか、この件は万事無事に解決し、お客様に喜んで頂いたのですが、すべてのケースが上手く収拾がつくかと言えば、不明なところがあります。

今の今まで、物件明細書を無条件に信じていて、競売入札を繰り返していたのに、その資料に間違いやら記入漏れやらがある可能性があるとは……。上のような事態は、決してレアなケースではありません。

これを聞いて、ゾッとした人もいるのではないでしょうか。

それでも、裁判所が書いたものなのだから、間違っていたり、記載漏れがあった場合は、何らかの救済措置があるのでは……と思う人がいるかも知れません。確かに、非常に大きな瑕疵――例えば、地震で建物が倒壊した、火災で建物が焼失した、建物の中で人が死亡していた等――があった場合、 開札日から売却許可決定の期日までであれば売却不許可の申出、売却許可決定期日から代金納付までの間であれば、売却許可決定の取消の申立が可能ではありますが、しかし、これは特別大きな事柄に対する救済措置であり、大抵のことにおいて、これらは適用されません。

それを象徴するかのように、物件明細書の下部に≪注意書≫として、裁判所の言い訳が記載されています。
この≪注意書≫を要約すると、「執行官や評価人が調査してきたことを踏まえた上で、一応の見解を述べているだけで、最終的な決定力があるものではないよ」ということです。

ちなみに東京地方裁判所の場合、以前は「裁判官」の見識であったのですが、最近では物件明細書から裁判官の文字は消え、新しく「書記官」の三文字が与えられました。書記官の見識にランクダウンです。
以上のことから結論として、物件明細書は競売に参加する上で非常に重要な資料ではあるけれども、それだけを鵜呑みにしてはいけないし、少なくとも読解するだけの知識を手に入れるか、もしくは専門家に調査のご依頼をして頂くのが一番、安心であり確実なことであるということです。

今回は「物件明細書」について話してきました。次回、機会があれば、「現況調査報告書」や「評価書」について、お話し致しましょう。

 

 
       
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