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競売フォーラム/特集

       
 

占有者退去交渉における「立ち退き料」について

株式会社レフォルマ 東谷  [2005.8.24]

不動産競売において、避けては通れない占有者退去交渉――。

例えばそれは、債務者兼所有者であったり、ただの所有者であったり、賃借人であったり、使用借権者であったり、無権限者であったり……さまざまな立場で占有を行っている個人や法人。そんな彼らと買い受けた物件の占有解除を求め交渉する。これが占有者退去交渉と呼ばれるものです。

中には大した交渉もしない内に、あっさりと占有を解除し、それこそ無条件にて退去に応じる占有者もおりますが、大抵の場合、そうはいきません。金銭もしくは退去までの猶予期間や、その両方を求めてくるケースがほとんどです。

その交渉のメインとなるのが、やはり金銭的な話なのですが、それでは退去にあたり、占有者に対して金銭――立ち退き料を支払うことはアリなことなのか、それともナシなのか。

今回はその点の話をしてみたいと思います。単刀直入に結論から先に述べることにしましょう。

私の結論――。

コストと時間の兼ね合いさえあえば、占有者に対して、立ち退き料等名目の如何に関わらず金銭を提供することは否定するべきものではない。無論、相手が望むまま、希望する金額を無制限に出す必要性があると云うことではありません。

前述の通り、金銭的なコストが買受人が納得出来る金額の範疇にあり、なおかつ時間的な余裕がある場合に限り、占有者に対して金銭の提供を行っても構わないと云うことです。例えば、3月1日に落札した物件があるとして、この買受人が貴方だとしましょう。そして開札日の二週間後に売却許可決定が確定したので、貴方は早速占有者と電話にてコンタクトを取り、交渉の場をセッティングすることに成功します。

さて、交渉のテーブルについた買受人。ここまではよかったものの目の前に座る占有者が問題で――あからさまに暴力団員風です。ひらたく云えばヤクザそのものです。ヤクザは買受人である貴方に言い切りました。

「引越しするのにも金は掛かる。最低でもイッソクは必要だ」

イッソクと云う言葉に最初、戸惑いを感じる貴方でしたが、その意味はすぐに分かりました。イッソク=一束=100万円! しかも、退去の時期に関しても「そうだな最低でも六ヶ月は必要だな」とごり押ししてきます。

当然、そんな引渡し時期だと、買受人が行うべき代金納付日はとっくに到来し、しばらくの間、使用収益が出来ようはずがありません。しかしながら、ヤクザ業を営んでいる方の、こちらに有無を言わさぬ態度と容貌は流石の一言です。交渉の早々から相手の威圧に押された貴方は、「はい」と一言。結局、相手の要求をすべて飲んでしまいました……。

このような話はどうでしょうか。それでこんな場合であったとしても立ち退き料を支払う必要があるか?

――答えはノーです。

自己の時間的利益が見込まれなければ、そんな相手に対して、金を支払う意味がありません。相手がどんな人間であれ、その原理原則が守られなければ、立ち退き料等の支払いを行うことはもっての他です。特に、肉体的には論外ですが、暴力的威圧的態度でもって、買受人に精神的圧迫を与える輩に対しては徹底的に抗戦すべきだと個人的には思慮しております。

無造作に金を与えればいいと云うことではなく、あくまでも、時間的な利益に繋がるのならば、金銭の提供をしてもいい、と云うことです。

それでは、ここで云う「時間的な利益」とは一体何でしょうか。この答えは、「引渡しまでの猶予期間の短縮」に他ならず、もっと具体的に云えば、「代金納付期限日を終点としてどれだけ早く占有者の退去を行うことが出来るか」に尽きましょう。

代金納付期限日までに落札した物件を自分で占有出来れば、早々に住むことも出来れば、リフォームの見積もりや測量を実施することも可能となります。それだけ時間的な利益を得られると云うことに繋がるでしょう。それであれば、その時間の捻出による利益に見合うだけの金を与えても、惜しくはないし、自分としても納得が行くと云うものです。

要するに、相手が望んでいるから、占有を解除しないから、金を支払うと云うスタンスではなく、まずは買受人が納得出来る果実を得られることを前提として、その対価に見合った金額の支払いを行い、物件の引渡しを得れればそれで良し、と云うことです。

……などとお話してきましたが、最初から立ち退き料等金銭の話をしてしまったら、相手側のなかにはそれに付け込んできて更なる請求をしてくる人間もいるかも知れません。その辺りは、交渉の駆け引きとなりますので、自分ではちょっと……と思われる方は、弊社のような業者にご依頼されるのも、ひとつの手であることは間違いないでしょう。

 
       
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